過去の活動

【活動報告】世界のリアルに触れる、自分に出会う in フィリピン・セブ島 スタディ×ボランティアツアー

 2023年08月15日(火)〜22日(火)

世界のリアルに触れる、自分に出逢う
オルタナティブな教育と生き方について考える旅
スタディ×ボランティアツアー in フィリピン・セブ島

が実施されました

このツアーの詳細はこちらから

 

スモーキーマウンテン『ゴミ山』

セブ島にあるスモーキーマウンテン”イナヤワン”を見学しました。

スモーキーマウンテンとは所謂『ゴミ山』、名称の由来は自然発火したゴミ山から燻る煙から名づけられました。

現在はイナヤワンにはゴミは運ばれず、別の場所に「一時保管」されているようです。今回お世話になった、NPO法人ゴーシェアさんのツアーでは以前はこの地にバスから降りて見学をされていたようなのですが、医療廃棄物などもゴミに混ざり大変危険な状態なので、現在はバスから状況を見学するようにされているとのこと。ゴミ山の周りには大人もこどもも普通に生活していることが衝撃的でした。ここでの暮らしはかなり劣悪な環境で、集められてきたゴミの中に紛れている食べ物を再調理して食べている人もいるのだとか。

こども達とって、ここのバックグラウンドをアイデンティティに持つということは健康や将来に大きく影響します。この環境で育ったこども達は自分に自信が持てない、希望がない、言葉の訛りでいじめに遭ったりとスモーキーマウンテンで育ったアイデンティティに潰されてしまいます。

 

 

イナヤワン地区のこども達

次に訪れたのはこの地域の協会が主体で活動している自助団体でした。大変な環境でも、希望を捨てず政府が動かないなら、と、地域のこども達のためにと活動されているグループです。

ここで私たちは再び“衝撃”を見ました。 私たちを迎えてくれたのは、元気に踊り、笑顔で私たちを歓迎してくれるこども達。ダンス&歌や、楽器で自分を表現し、私たちを一生懸命楽しませてくれました!グループになってゲームを教えてくれたり、現地のおやつを説明してくれるコーナー、最後には大きな輪になって現地のこどもも私たちもごちゃ混ぜに踊りました! そしてお別れはハイタッチ!!たった数時間のイナヤワン滞在でしたが、さっきのスモーキーマウンテンで目にした現状と、この自助活動グループが見せてくれたこども達の弾けんばかりの笑顔。この両極がどちらも現実です。 幸せとはなんなのか。 豊かさとは何か。 考えさせられた出来事でした。

 

 

パンダノン島で水脈探し

今回の旅のメイン目的である「水脈探し」をする島、パンダノン島に行きました。

パンダノン島は人口2000人の小さな島、水も電気もなく人口飽和状態、病院も、助産院もありません。かろうじで小学校はありますが中学や高校は別の島へ通わなければなりません。

そんな島に到着した私たちが目の当たりにした現状は・・・やはりゴミ問題。ここにもありとあらゆる場所にゴミが積んでありました。港の入り口にあるお手洗いも壊れてそのまま。パンダノン島は「天国に一番近い島」とも呼ばれ、セブ諸島の一部であるこの島は「アイランドホッピング」でも観光で人気が高い島です。しかし、観光で人気のあるビーチはたったの一部で、その裏側にはこんな状況が隠されています。しかもそのビーチは個人の持ち物。観光業での潤いが街に循環することはありません。

更にこの島、90%以上が漁業で生計を立てており、農作物はほとんど育ちません。この島のライスはコーンライスが主流で、みんないつか白い米を食べたい!と夢見ているのだとか。

まずは聖子さんにガイドをしていただき島内をツアーしました。こども達は、昨日と同じようにキラキラした笑顔で私たちを迎えてくれます。

水脈探しはゴーシェアさんが作ったラーニングセンターの敷地内で行われました。地中の状態を確かめるため、スコップで1メートルほど掘ってみます。硬い石や、サンゴ礁、コンクリートなどを取り除いてから本格的に単管パイプで掘り進めます。

今回、”水脈探し”をしていただいた西田名人も初めての海外。でも、島でも真水を出した実績があり、今回もきっと大丈夫!と、ここでの水脈探しにご協力いただきました。脚立がないので、人が人を担ぎ、単管パイプを打ち付けます。ゴーシェアさんの現地スタッフ、Sea Monkeyも一緒に作業をしました。

 

 

無医療の村に命を守る“真水”を

パンダノン島の水事情ですが、この島には“真水”がありません。そのため、飲み水がなくなったら船にありったけのタンクを積んで買いに行きます。そんな状況なので、医療の現場や出産の時に清潔な水もなければ医療用品もありません(この島は無医村です)。そんな状況で育つこども達は、虫下の薬を飲んだら衝撃的な量の寄生虫が出てくるのだそうです。寄生虫は人間の栄養分を吸い取ってしまうので、こども達は食べても食べても栄養が吸収できないという健康被害になります。

この島に“真水”が出るということは、命を守ることに直結します。飲み水さえあれば、雨水を野菜や植物に使う事ができ、食料の確保もしやすくなり、医療の現場ももっと安全なものになるかもしれません。

そう思うと、単管を打ちつけるにも力が入ります。時間が限られている中で、焦る気持ちを抑えつつ安全面も配慮しながら掘り進めました。
4mに達した頃、土を掘る感触が変わってきました。水の存在を確認します。
すると、水が見えました!
今まで真水がなく、苦労してきたパンダノン島で奇跡が起きました!

 

 

真水の出ない無医療の村でゴミの山に囲まれながらも明るくたくましく生きる子どもたち。
医療がなく、十分とはいえない食糧事情で栄養が不足し、産業が乏しく経済的にも恵まれていない。
それでも前向きに生きる村民たちを目の当たりにして、本当の幸せや豊かさについて考えさせられ、胸が引き裂かれるような思いでした。
今回の旅は「水脈探し」がメインの目的。試行錯誤しながら発見した水の存在。
それが彼らの、そして私たちの「豊かさ」に繋がる小さな一歩となれば、と思います。